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全国ふるさと昆布料理自慢

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えりもの春

安達 章子 昆布大使(東京都)
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 今回は本の紹介です。
 「えりもの春/稲本 正」
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この本の表紙には
「えりも岬に木を植え続けた漁師たちの50年の戦い」と書かれてあります。

なぜ、漁師たちが木を植え続けたのか。なぜ50年もの戦いだったのか。
とても興味を持ちました。
そしてこのお話は、昆布と多いに関係があったのです。

えりも岬といえば、日高昆布の産地のひとつとして知られていますが、
実は過去に壮絶な自然との闘いがあったことをこの本で知りました。
もともと、えりも岬は昔から昆布の名産地として有名でした。
しかし、明治の初め、その良質な昆布を求めて移り住んだ開拓民たちが、
暖房用に、えりもの森の木々を切り尽くしてしまったのです。
そして、岬の陸の部分は砂漠化してしまいました。
その結果、この砂漠の砂は海に流れ、濁った海で昆布は育たなくなりました。
生活の糧である昆布を失ってしまったのです。
当然のことながら、住民のの生活は困窮を極めてしまいました。

そこで、昭和28年、この砂漠化した200ヘクタールの土地を
森にかえるプロジェクトが浦河営林署の指導のもと、
若い漁師たちを中心に始まりました。
まず砂漠と化した土地を草地化し、
その後、苗木を植えて森林化する計画でしたが、
土地が砂漠化していて養分がないところへ、
蒔いた種はえりも岬特有の強風にあおられ、根付くことがなかなかできません。
なんと20年もの試行錯誤の末に、やっと良い方法が見つかりました。

それは、種が風で吹きとばされないように「ゴダ」と呼ばれる
クズの昆布を種の上に置く方法でした。
これは、種が飛ばないだけでなく、
昆布の養分が肥料となる素晴らしい方法でした。
ようやく種が育ち、草地化するに至っのです。

しかし、そこから森林化にまでたどりつくのが、さらに30年。
気が遠くなるような年月がかかりました。
現在では、森林は安定し、森で育まれた豊かな栄養分が海に流れこみ、
昆布は育つようになりました。
50年かけてやっと海は豊かさを取り戻したのです。

この本では多くの学びがありました。
まず、自然は容易に破壊できてしまうが、
取り戻すには相当の年月が必要だということ。
また改めて、陸と海とは繋がっているということ。
豊かな陸があってこそ、豊かな海ができるということ。
そして、何より感動したのが、海に昆布をよびもどすきっかけとなったのが、
「ゴダ」と呼ばれるくずの昆布だった。ということ。
昆布が自ら昆布を救ったのです。

しかしそれも、何十年も過酷な作業を諦めずに続けた
漁師たちの闘いがあってこそです。
これには、本当に頭が下がりました。
NHKの「プロジェクトX」でも紹介された感動のドキュメントです。
是非お読みになってはいかがでしょうか。


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